おもてなし|仏壇仏具まつかわ
2021/05/12
「おもてなし」って?
近年、おもてなしという言葉を目にする機会が増えたと感じる人もいるのではないでしょうか。おもてなしとは、心のこもった待遇のこと。顧客に対して心をこめて接待やサービスをすることを言う。「もてなし」に「お」をつけて、丁寧にした言い方です。
おもてなしの言葉が周知されるようになったのは、2020年に開催される東京オリンピック招致の際に、日本ならではの「おもてなし」をキーワードにしたプレゼンテーションが各メディアで話題となったことが有名ではないでしょうか。
「おもてなし精神に溢れた旅館」「おもてなしの心を持って、お客様をお迎えする」など、さまざまなシーンで用いられる「おもてなし」という言葉。
よく使う言葉ではあるものの、詳しい意味や語源までは分かっていない方も多いのではないでしょうか。
おもてなしのはじまり
「おもてなし」は、平安時代や室町時代にうまれて文化として発展した、「茶の湯」から始まったと言われています。
茶の湯は、お客様を迎いて抹茶をたてて楽しむ文化で、特別な作法や場が必要となります。茶の湯で求められる正しいふるまい・態度・待遇などが、おもてなしの語源なのです。
「降らずとも傘の用意(すべての人の憂いを想定して、備えておく)」「夏は涼しく冬暖かに(心地よい状況を作り出す)」「茶は服のよきように点て(相手が飲みやすいよう、適温と適量を守る)」「相客に心せよ(その場にいる客人全員が心地よく過ごせるように、主催する亭主は最大限気を配る)」など、客人を迎え入れる際の心構えが記載されています。
すべての来客や接客を「一期一会」ととらえ、万全の準備と最高の空間を提供することが、茶の湯から生まれたおもてなしの精神です。
想定外の気遣いをする
おもてなしは、相手の想定を超える気遣いや心遣いによって生まれるものです。例えば、旅館に宿泊した際にスタッフが布団を敷いてくれたとき、多くの人は「サービス」だと感じますよね。しかし、敷かれた布団のそばに湯たんぽや温かな言葉が記された手紙が置かれていたら、どう感じるでしょうか。きっと旅館やスタッフからの「おもてなし」の気持ちを感じるはずです。
上記の例のように、一般的に想定される言動は「サービス」となり、想定を超える気遣いがあった場合は「おもてなし」となります。より良いサービスを提供したい場合には、相手の心に秘める期待を良い意味で裏切るような気遣いをすることが重要なのです。
想定外の気遣いには「なにをしたら喜ぶのか」「自分になにができるのか」と、相手を慮る気持ちが求められます。相手の目線で物事を考えながら、上質な気遣いのできる大人を目指していきましょう。
見返りを求めない
海外へ行ったときに、レストランやホテルで「チップ」を渡した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。チップは、外国で一般的な習慣のひとつで、接客サービスを受けたときに感謝の意味を込めて支払うものです。もちろんあくまで任意のサービス料ですが、多くの国や施設ではマナーとして捉えられています。
では、なぜ日本にはチップを渡す習慣がないのでしょうか。
日本でチップを渡す文化がないのは、日本人の心に「おもてなし」の気持ちが宿っているためです。日本では、なにかサービスや心遣いをした場合にも見返りを求めず、相手を丁寧に敬うことが重要だとされています。
また、見返りを求めない精神は、接客業やビジネスシーンに限ったことではなく、日常生活においても同様ではないでしょうか。
「考える時間」をつくる
言葉の意味や接し方を学んだからといって、一朝一夕で相手への「おもてなし」の精神を身に付けることはできません。おもてなしを身に付けるためには、自分自身と対話をしながら、相手の気持ちを考える時間を持つことが重要だと思います。
相手のことを敬い、慮るためには、自分の心に余裕を生み出す必要があります。毎日時間に追われながら、自分の仕事に精一杯の状態では、相手を思いやる気持ちを持つのは難しいでしょう。忙しいときほど、一旦落ち着いてゆっくりと物思いに耽る時間を持つようにしましょう。
スマートフォンやインターネットの普及によって、現代はいつどこにいても仕事をできる環境が整っています。しかし、ときにはパソコンやスマートフォンの電源をオフにして、自分自身の心を見つめ直す時間を持つように意識してみるのもどうでしょうか。
<「考える時間」を作るために、おすすめの方法>
- 日記をつけて、日々の出来事を振り返る
- 瞑想やマインドフルネスで、頭の中をリセットする
- スマートフォンやパソコンから離れて、情報を短時間シャットダウンする
しらずしらずのおもてなし
日本には四季があり季節ごとにいろいろな行事があると思います。
特に夏には、お盆があります。お盆はご先祖様の魂が、あの世(浄土)からこの世(現世)に戻ってくると言われています。このお盆を迎える前におの掃除やお墓の掃除をしたことはありませんか?
科に棚の掃除やお仏壇の掃除をするということは、神様やご先祖様を「もてなす」準備をしているのと一緒ではないでしょうか?
そしてお仏壇に果物や甘味、お膳などをお供えしたりしているのはご先祖様に喜んでもらうための「おもてなし」ではでしょうか?
夏祭りでは盆踊りがあります。この盆踊りはご先祖様の霊をなぐさめるための念仏踊りがルーツともいわれており、これらもご先祖様への「おもてなし」ではないでしょうか?