お線香の意味|福井で仏壇仏具のことならまつかわ
2021/04/19
線香の歴史
香りの歴史はかなり古く、紀元前3000年頃のメソポタミアでは神事で香りの高い木を焚いていたと言われています。
また、古代エジプトではミイラの防腐剤として香料が使用されていたとも言われています。
その後香料の活用はインドに伝わり、防臭・殺菌の用途で用いられました。インドは沈香や白檀の産地でもあり、仏教で心身を清浄するために使用されるようになりました。
日本で「香」が用いられるようになったのは、飛鳥時代の仏教伝来の頃と考えられています。さまざまな仏教儀礼とともに香もまた、大陸から伝えられました。
室町時代には公家の贈答品として用いられ武士が台頭し、禅宗が広まった鎌倉時代は、香木そのものと向き合い、一木の香りをきわめようとする精神性が尊ばれるようになります。この頃に、香木の香りを繊細に鑑賞する「聞香」の方法が確立されました。
そして、室町時代に東山文化が花開いていく中、茶の湯や立花と同じく香も、寄合の文化の一翼を担っていきます。
江戸時代には貴族、武士階級の他に経済力をもった町人にも香文化が広まります。
「組香」の創作や、それを楽しむために多くの優れた香道具が作られました。香を鑑賞するための種々の作法が整えられ、香は「道」として確立されていきます。
一方、中国からお線香の製造技術が伝わり、庶民のあいだにもお線香の使用が浸透していきます。今の棒状のような原形ができたのも江戸時代初期のことでした。
線香をあげる意味
故人様の食べ物になるため
「死後の人間が食べるは匂いだけで、善行を行った死者は良い香りを食べる」という記述が仏教経典である「倶舎論(くしゃろん)」にあるように、故人様がお亡くなりになってから四十九日を迎えるまでは、線香を食べ物とすると仏教では考えます。これは「食香」と呼ばれ、地域や宗派によっては、四十九日を過ぎるまで線香の火を絶やさないように務めるのはこのためです。
自身の身を清めるため
仏教が生まれたインドでは、高貴な方と接する際は必ずお線香を焚く作法があります。これは、仏様が説教の中で、俗塵(ぞくじん)つまり、日常(俗世間)でいつの間にか汚れてしまった心を清めるためにお香を焚いて清めるよう説いたからだと言われています。
故人様と心を通わせるため
仏教では、お線香の煙には、それを通して仏様とお話をするという意味があります。つまり、お線香の煙が、あの世の故人様とこの世の私たちの橋渡しをしてくれるのです。お線香をあげて手を合わせ、故人様に思いを馳せ、自分がこの世に生まれたことを感謝することは、お線香によって故人様と心を通わせることに他なりません。